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ウイルス感染に対抗する歯科の重要性

こんにちは。歯科衛生士の秋山です。今回はコロナウイルスと歯科についてお話ししたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の初期症状としての嗅覚異常と味覚異常
歯科では味覚異常をどのように診断しているか?歯科で味覚異常を診察する際に、まず念頭に置くのは、味覚を伝えている神経系(鼓索神経や舌咽神経など)の障害です。これらの神経の障害は、抜歯などによる損傷、外傷による損傷、ヘルペスウイルスによる障害、中耳炎などの罹患で起こります。ときには脳腫瘍や脳血管障害(中枢性疾患と呼ばれる)なども考えられます。これらは、神経系の経路(神経回路)で起きている障害のためにそのほとんどが片側です。神経が分布する場所(支配領域)に沿っていることから、その場所に痛みやしびれ、表情筋の麻痺などの症状が必ず伴います。味覚異常は、感冒、花粉症、アレルギー性鼻炎などでも発現しますが、これらは鼻水や鼻づまりなどの鼻の症状を伴います。

痛みやしびれ、表情筋の麻痺などの症状がなく、味覚異常のみを訴える場合、まず考えられるのは亜鉛欠乏です。亜鉛は、細胞分裂(1個の細胞が2個以上の細胞に分れる現象)に関わる多数の酵素活性に関与しています3)。そのため、血液中の亜鉛不足が新陳代謝の著しい味の受容器である味蕾細胞の細胞分裂を低下させます。血液中の亜鉛不足の原因として、栄養のバランス異常のほか、抗がん剤、抗パーキンソン薬、抗アレルギー薬など多種多様の常用薬があります。患者さんが味覚低下ではなく異様な味を感じると訴える場合は、口腔カンジダ症、貧血、シェーグレン症候群なども考えられますので、舌の性状や色調、口腔の乾燥の度合いなどの診察を必ず行います。また、糖尿病や腎不全の影響、放射線治療後、うつなどの精神心理学的影響などによる味覚への影響もあります。これらの症状はじわじわと出現します。つまり、口腔に原因があるわけではなく全身の一症状が口腔に出ているのです。しかし、突然、他に考えられることがなくて著しい味覚障害が出現した場合、特発性疾患(原因不明で発生する疾患で、医学の進歩により原因が解明されると特発性疾患から除かれる)として扱われます。新型コロナウイルス感染症の症状として味覚障害が報告されました。この時期ですので、新型コロナウイルス感染症も疑われます。ウイルス感染に対抗する歯科の重要性「インフルエンザ予防と歯周病菌との関係」より考えられること1 口腔健康管理(口腔清掃)はウイルス感染への水際対策です感染症予防のために大事なことは、身体を清潔にすることです。清潔な体の表面に病原菌は感染しにくいのです。しかし、手や体、髪を洗うことは心がけていても、お口の中を清潔にすることを忘れていませんか?
ウイルスの感染は、鼻と口と目から起こります1)。インフルエンザウイルスの場合、お口が不潔だと、口に入ってきたウイルスが感染しやすくなります。お口を清潔にし、健康に保つことはウイルス感染の水際対策なのです。お口に住んでいる細菌が出すタンパク分解酵素は、ウイルスが粘膜細胞の中に感染することを促進します2)。ウイルス感染予防のために、お口の衛生管理を心がけて下さい。特に歯周病菌は強力なタンパク分解酵素をもっています。歯周病にかかっている方には、ご自身での口腔清掃と共に、歯科医院におけるプロフェッショナルケアも大事です。2 不潔なお口は腸内細菌のバランスを乱して全身の免疫力を弱めますウイルス感染への有効な対策は、体の免疫力を低下させないことです。腸内細菌のバランスは全身の免疫に密接にかかわっています。そのため、腸内細菌のバランスが崩れると、感染症にかかりやすくなったり、さまざまな全身疾患が発症しやすくなることが知られています3)。お口の細菌が食道・胃を通って腸内にたどり着き、腸内細菌のバランスを乱して全身疾患発症の原因となることが判ってきました4)。お口が不潔な方、特に歯周病にかかっている方は、食事のたびにたくさんのお口の細菌が腸に運ばれるため、全身の免疫力が低下するリスクが高まります。3 お口が不潔だと肺炎のリスクも高まります中高年になると誤嚥と言って、食べ物や唾液が気道に入ってしまうことがあります。お口が不潔だと、この時にたくさんの細菌が気管に入って肺にまで至り、誤嚥性肺炎という肺炎を起こしてしまいます。誤嚥のリスクが高い方は、ウイルス性肺炎のリスクも当然高くなります。
さらに、歯ぐきに住む歯周病菌が血流にのって全身を駆け巡り、体のあちこちに炎症を起こします5)。また、歯ぐきの炎症により作られた炎症を起こす物質(炎症性物質)も血流にのって全身へとばらまかれます。その結果、体の免疫が乱されてウイルス感染による炎症症状が進みやすくなってしまいます。4 注意してください!コロナウイルスは口からもやってきます現在、中国からたくさんの論文が発表されています。これらの論文は、ウイルス感染が「口腔からも始まる」可能性を示しています1, 6)。今後ますます検証が進むと、コロナウイルス感染の予防には口腔衛生管理が重要であることがはっきりしてくることでしょう。
手洗い・うがいに加えて、お口のセルフケア(丁寧な歯磨き)とプロフェッショナルケア(歯科医院での専門的クリーニング)を心がけてください。また、舌を磨くこともウイルス感染予防に効果があります。
日本歯科医学会連合
新型コロナウイルス感染症対策チーム 参照返信転送